下肢静脈瘤疾患
下肢静脈瘤とは
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の血管の病気です。
下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。
主な症状
下肢静脈瘤の症状はほとんどがふくらはぎにおこります。
足に血液がたまることによっておこるので、午後から夕方に症状が強くなるのが特徴です。
原因
静脈瘤ができる関連因子としては、高齢者、女性、妊娠、肥満、便秘、そして立ち仕事の多い人などが挙げられています。
下肢静脈瘤の治療
下肢静脈瘤は主に下肢静脈の弁不全により、立位で静脈血液が逆流し、静脈血流障害を起こす疾患です。下肢静脈瘤の頻度は高く、45歳以上では20%に認められるとの報告もあります。症状は下肢静脈が拡張蛇行に加え、夜間の足の吊り、足のだるさ、痛み、腫脹、さらにひどくなると皮膚の色素沈着、硬化や治療に難渋する潰瘍に至ることもあります。上記のような静脈うっ滞症状がある方には、重症度、患者さんの希望などを考慮して、下肢静脈瘤の病態である静脈逆流をなくす治療法を選択します。
- 圧迫療法:弾性包帯やストッキングを着用することで、下肢静脈、リンパのうっ滞を軽減しますが、下肢静脈瘤の病態が複雑な場合、他の治療法がない場合や外科的治療後に使用されます。下肢静脈瘤用の弾性ストッキングも症状、病態に応じて、適正なサイズ、圧迫圧やソックスからパンティストッキングまでの種類が決められます。
- 下肢静脈瘤硬化療法:界面活性剤に類似した硬化剤を静脈瘤内に注射し、静脈瘤を閉塞させます。本法は外来にて簡便に施行できますが、他の治療法に比し、再発率が高くなります。
- 外科的静脈抜去術:多くは全身麻酔下に逆流する静脈を抜き取ってしまいますが、侵襲は高いもののより確実な治療法で、特に重症度が高い場合には、非常に効果のある治療法です。
- 血管内レーザーおよびラジオ波焼灼術:外科的に静脈を抜き取ってしまう代わりに静脈に挿入したカテーテルより、レーザーやラジオ波熱にて静脈を閉鎖させる治療法で、局所麻酔下に外科的治療より低侵襲で、日帰りでも行うことができます。術後の再発も外科的治療と比してそん色がなく、低侵襲で効果的な治療法として、著しく普及してきています。
- 下肢静脈瘤による静脈うっ滞症状に関しては、生命の危険性からみると軽視されがちですが、治療後QOL(生活の質)の改善度は高く、気になれば相談されることをお勧めします。
下肢静脈瘤による静脈うっ滞症状に関しては、生命の危険性からみると軽視されがちですが、治療後QOL(生活の質)の改善度は高く、気になれば相談されることをお勧めします。
心臓血管病センター長
小川 智弘